國學院大學 平成30年度SYLLABUS

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科目名 教員名
(専)刑事訴訟法 中川 孝博

開講詳細

開講キャンパス 開講時期 曜日 時限 開講学年 単位数
渋谷キャンパス 通年 金曜 1時限 23 4

講義概要

授業のテーマ

日本の刑事手続 【中級】

授業の内容

日本の現行刑事手続法制の大枠を理解し、さらに、この分野における諸問題を法的に検討して自身の見解を説得的に表明する力をのばそうとしているみなさんを支援します。

到達目標

A 知識・技能
【A-1】
・これまでの学習により身につけたアカデミック・スキルを活用する。
【A-2】
・刑事訴訟法学の基礎的な知識を身につける。
【A-3】
・刑事訴訟法学に関する主要な理論および概念、ならびに判例分析の手法を得る。

B 思考力・判断力・表現力
【B-1】
・1つの論点が問題になる紛争解決にあたり、解決のポイントを発見できる。
【B-2】
・「解決のポイントとなる論点につき、大前提たる法規範を解釈によって具体化しつつ、法的三段論法により解決する」という法的思考の基本様式に沿った思考が自然にできる。
【B-3】
・法解釈にあたっては、自説と他説のメリットとデメリットを冷静に検討し、自説が妥当であることを論証できる。

C 主体性を保持しつつ多様な人びとと協働して学ぶ態度
【C-1】
・刑事訴訟法学に積極的関心と意欲を持つことができる。
【C-2】
・他説にも敬意を払うことができる。
【C-3】
・自分とは異なる意見を持つ者とのグループワークに慣れる。

授業計画

第1回 *教科書『刑事訴訟法の基本』の通し番号と見出しを挙げる。
【001】刑事訴訟法学を学ぼう
【002】刑事訴訟法学の対象
【003】刑事訴訟法学の基本的視点
【004】捜査の定義
【005】未発生の犯罪に対する捜査
第2回 【006】捜査を担当する機関
【007】捜査の大原則
【008】「強制の処分」の解釈
第3回 【019】物的証拠収集のための強制捜査(明文規定あるもの)
【020】憲35の構造
【021】正当な理由(憲35Ⅰ)
第4回 【022】場所及び物の明示(憲35Ⅰ)
第5回 【023】各別の令状(憲35Ⅱ)および令状の執行
【024】令状によらない捜索・差押・検証(憲35Ⅰ)
第6回 【025】通信傍受の合憲性
【026】通信傍受と自由主義・民主主義
【027】通信傍受法の規定概説
第7回 *第1回中間テスト
第8回 【032】被疑者身体拘束の制度・趣旨
【033】国際人権法からみた身体拘束制度
【034】憲33からみた身体拘束制度
第9回 【035】通常逮捕の流れ
【036】緊急逮捕の流れ
【037】現行犯逮捕の流れ
【038】被疑者勾留の流れ
【039】逮捕・勾留の理由・必要
第10回 【043】別件逮捕・勾留
【044】身体拘束状態を利用した被疑者取調
【045】取調受忍義務
第11回 【046】余罪の取調
【047】事実上・法律上の司法取引
第12回 【052】捜査の監視
【053】不服申立
【054】自己負罪拒否特権と黙秘権
第13回 【055】弁護権①:弁護人依頼権の意義
【056】弁護権②:接見交通権
【057】証拠へのアクセス
【058】警察から検察へ
【059】起訴後の捜査
第14回 *第2回中間テスト
第15回 *前期ふりかえり
第16回 *第3回中間テスト
第17回 【060】公訴提起の意義
【061】公訴提起に関するポリシー
【062】不当な起訴に対するコントロール
【063】不当な不起訴に対するコントロール
第18回 【065】起訴の方式
【066】起訴状記載事項
【067】訴因の明示
第19回 【068】起訴状一本主義
【069】起訴の効果
第20回 【090】公判期日における手続
【091】公判手続の大原則
【092】簡易な裁判手続
第21回 【093】公判準備概説
【094】保釈
【095】証拠開示の意義
【096】従来型の公判準備手続
【097】公判前・期日間整理手続①:目的
【098】公判前・期日間整理手続②:内容
【099】公判前・期日間整理手続③:問題点
【100】公判前・期日間整理手続④:判例の動向
第22回 *第4回中間テスト
第23回 【101】証拠能力の意義
【102】自然的関連性
【103】法律的関連性①:総論・悪性格立証
【104】法律的関連性②:伝聞法則入門
【105】法律的関連性③:伝聞例外入門
第24回 【120】証拠禁止①:違法収集証拠排除法則入門
【121】証拠禁止②:自白法則入門
第25回 【129】補強法則の意義
【130】補強の範囲①
【136】共犯者供述と補強法則
第26回 【137】事実認定に関する諸原則
【138】適正な証拠評価
【143】裁判の意義
【144】裁判の成立と内容
【145】評議・評決
第27回 【076】訴因変更の意義
【077】訴因変更の要否
【078】争点変更
【079】罰条変更
第28回 【146】上訴概説
【147】上訴審は趣旨通りに機能しているか──事実誤認を例に
【157】非常救済手続
【158】再審
【159】非常上告
【160】「あらたに発見したとき」
【161】「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」
第29回 【163】被害者
【164】救援者
【168】裁判員①:裁判員制度の目的
【169】裁判員②:対象となる事件
【170】裁判員③:裁判員選任手続と公判
【171】裁判員④:裁判員の保護と裁判員の義務
第30回 *授業時試験
*ふりかえり
授業計画の説明  本授業は徹底的なアクティブラーニング型授業です。授業時間中には、さまざまなアクティブラーニングの技法を駆使してグループワーク等を行います。その状況により進行具合は変化します。授業計画は目安程度に捉えておいてください。

※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。

授業時間外の学習方法

 レクチャー動画を自宅で聴いてノートをとり、知識を整理する「これだけは!シート」や論述課題を仕上げ、授業前に提出します。毎週180分程度の自習が求められます。授業時間中は、提出した課題をもとにグループワーク等を行います。

受講に関するアドバイス

 刑事訴訟法の授業は、裁判法A or 刑事手続法概論→刑事訴訟法→刑事訴訟法2のセットです。本授業は、中級にあたる授業となります。張り切っていきましょう。

成績評価の方法・基準

評価方法 割合 評価基準
授業時試験 80% 第15回授業時に行われるペーパーテストにより、D、C、Bという成績が仮に決まります。
平常点 20% グループワークの成果(これだけは!シート、論述課題等)次第で、上記の仮成績が最大ツーランクアップします(例えばBがSにアップします)。

※すべての授業に出席することが原則であり、出席自体は加点の対象になりません。


注意事項 ほぼ全ての回において授業時間外課題がでます。前回の授業時に指示された課題を提出すると、次回の授業におけるグループワークに参加する資格が与えられます。

※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。

教科書・参考文献等

教科書

・中川孝博『刑事訴訟法の基本』(法律文化社、2018年4月刊行予定)
・葛野尋之=中川孝博=渕野貴生『判例学習刑事訴訟法[第2版]』(法律文化社、2015年)

参考文献

書名 著者名 出版社 備考 K-aiser
刑事法入門[第2版] 赤池一将=中川孝博ほか 法律文化社 2011年

参考文献コメント

・授業に有益な参考文献は、授業内で紹介します。

参考になるウェブページ

・レクチャー動画等の教材は下記サイトに集約します。下記サイト中の「刑事訴訟法の基本」ページを活用してください。
https://www.nakagawatakahiro.com/
・レクチャー動画本体は、YouTubeにアップしてあります。「刑事訴訟法講義」チャンネルです。
https://www.youtube.com/channel/UCBGwRAK-SGb48L4kCfcAhPw

オフィスアワー

金曜3限