國學院大學 平成29年度SYLLABUS

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登録番号 科目名 教員名
9368 文化財学特論A(講義) 水ノ江 和同

対象となる専攻

前期課程文学研究科史学専攻

開講詳細

開講キャンパス 開講時期 曜日 時限 単位数
渋谷キャンパス 前期 土曜 2時限 2

講義概要

研究のテーマ

考古学と埋蔵文化財

講義・演習の内容

昭和25年に制定された文化財保護法以降、開発事業に伴う埋蔵文化財の緊急発掘調査は大学で実施されてきた。しかし、昭和39年の閣議了解を踏まえ、文化財保護委員会(現.文化庁)が関係省庁や都道府県へ発出した通知「史跡、名称、天然記念物および埋蔵文化財包蔵地等の保護について(依頼)」以降、それは地方公共団体が担うことになった。
 現在、日本では年間約8,000件の発掘調査が行われている。この数字は世界的にみても突出した件数であるが、その大部分は地方公共団体が行う通称「行政発掘」であり、大学が行う通称「学術発掘」は約40件(発掘調査全体の0.5%)と意外に少ない。行政発掘は昭和40年代以降、高度経済成長や平成バブル景気に伴い急激に体制整備が進み、現在では大部分の都道府県では発掘調査を専属的に行う組織を設置し、市町村においても、教育委員会内にそれを担う課室係が配置されている。そして、実に全国で約5,700人の公務員としての埋蔵文化財専門職員が、日々埋蔵文化財保護の業務に携わっている。
 このように、体制整備が充実した日本の埋蔵文化財行政は、大学における考古学研究とは発掘調査の目的が異なるため、一線を画す状況がかなり明確になり、独自路線を歩むようになってきた。しかし、その根底にあるのは「考古学的手法を用いた発掘調査」であることは間違いなく、やはり、大学考古学と行政埋蔵文化財とは車の両輪的関係で連携することが、お互いの今後の発展にとって極めて重要であることは明白である。
 そこで本授業では、埋蔵文化財行政の現状と課題をあくまで考古学的観点から検討し、考古学研究の新たな展開を模索することはもちろん、多くの考古学専攻学生が就職するであろう埋蔵文化財行政について理解を深め、その基礎的知識を理解することはもちろん、大学考古学と行政埋蔵文化財との連携を実践するという意識の醸成を期待するものである。

到達目標

○ 埋蔵文化財行政の現状と課題が説明できるようになる。
○ 大学考古学と行政埋蔵文化財との関係性や、連携の必要性が説明できるようになる。
○ 埋蔵文化財専門職員に求められる基礎的な知識が理解できるようになる。

研究(授業)計画

第1回 埋蔵文化財行政の歴史
【準備学習 30 分】
⇒シラバスを読み自己の埋蔵文化財行政のイメージを作っておく。
第2回 文化財保護法、施行令、規則、通知、報告
【準備学習 60 分】
⇒文化庁HPの埋蔵文化財「委員会報告」の内容を確認しておく。
第3回 『発掘調査のてびき』
【準備学習 60 分】
⇒『発掘調査のてびき』3巻の内容を確認しておく。
第4回 埋蔵文化財行政の現在①-震災対応-
【準備学習 60 分】
⇒文化庁HPの「東日本大震災関連情報」の内容を確認しておく。
第5回 埋蔵文化財行政の現在②-水中遺跡-
【準備学習 60 分】
⇒文化庁HPの埋蔵文化財「水中遺跡」の内容を確認しておく。
第6回 埋蔵文化財行政の現在③-デジタル-
【準備学習 60 分】
⇒『発掘調査のてびき』のデジタルに関する部分を確認しておく。
第7回 国・都道府県・市町村①-補助事業-
【準備学習 60 分】
⇒国の一般的な補助事業の仕組みを確認しておく。
第8回 国・都道府県・市町村②-史跡指定-
【準備学習 60 分】
⇒近隣の国指定史跡を訪問しておく。
第9回 考古学研究と埋蔵文化財保護の連動性①-縄文時代遺跡-
【準備学習 60 分】
⇒縄文時代遺跡に関する基礎知識を確認しておく。
第10回 考古学研究と埋蔵文化財保護の連動性②-洞穴遺跡-
【準備学習 60 分】
⇒洞穴遺跡に関する基礎知識を確認しておく。
第11回 考古学研究と埋蔵文化財保護の連動性③-古代山城跡-
【準備学習 60 分】
⇒古代山城に関する基礎知識を確認しておく。
第12回 考古学・埋蔵文化財の活用①-保存目的調査-
【準備学習 60 分】
⇒『発掘調査のてびき』の保存目的調査に関する部分を確認しておく。
第13回 考古学・埋蔵文化財の活用②-まちづくり・人づくり-
【準備学習 60 分】
⇒地域の考古学・埋蔵文化財に関するイベントに参加する。
第14回 大学考古学と行政埋蔵文化財の連携
【準備学習 60 分】
⇒大学と行政の連携について考えておく。
第15回 試験
【準備学習 120 分】
⇒14回に及ぶ授業内容を纏めておく。

※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。

授業時間外の学習方法

毎回、次回の授業に向けた準備内容を提示するので、それに基づき学習を進める。

成績評価の方法・基準

評価方法 割合 評価基準
授業時試験 70% 課題を与え、第15回目の授業において記述式の試験を実施する。
授業への取組 10% 毎回の授業で質疑応答の時間を設けるので、積極的な取組を評価する。
リポート・論文 10% 第7~8回目の授業終了時点で、授業の習熟度を確認して後半の授業にそれを反映させることを目的に、簡単なレポートの提出を求める。
授業への出席 5% 授業への積極的に出席することを期待する。
その他 5% 毎回の受講態度が前向きであることを期待する。

※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。

教科書・参考文献等

教科書

特になし。

参考文献

書名 著者名 出版社 備考 K-aiser
発掘調査のてびき 文化庁文化財部記念物課 同成社 1・2巻は2010年、3巻は2013年
大学教育と文化財保護における現状と課題 坂井秀弥 日本考古学協会 2015年奈良大会研究発表資料集
埋蔵文化財の専門職員と発掘調査 水ノ江和同 日本考古学協会 2015年奈良大会研究発表資料集
私が文化庁主任文化財調査官だった時の国の埋蔵文化財行政 岡村道雄 坪井清足先生卒寿記念論文集-埋文行政と研究のはざまで- 2010
日本住宅公団覚書と地方の埋蔵文化財保護行政 坂井秀弥 坪井清足先生卒寿記念論文集-埋文行政と研究のはざまで- 2010
文化財保護の課題 和田勝彦 坪井清足先生卒寿記念論文集-埋文行政と研究のはざまで- 2010

参考文献コメント

埋蔵文化財に関する文献は慣れないと読みにくいですが、まずは内容の詳細よりも、固有語や独特な言い回しに慣れ、全体の構成や概要の把握に努めてください。

参考になるウェブページ

文化庁ホームページ(ホーム→政策について→文化財→文化財の紹介→埋蔵文化財)