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発掘調査から発掘調査報告書作成まで
考古学では、発掘調査などの野外調査が実験の役割を果たす。発掘調査などを通して得られた多くの情報をもとにして人類の過去を探るのが考古学である。したがって考古学における発掘調査の役割はきわめて大きく、精度の高い発掘調査をおこなうには相応の技術を習得することが求められる。前期では、考古学の発掘調査に欠かせない基本的な技術を身に付けてもらうことを目的とする。これら基本的な技術を習得し、夏季休暇中には10日間の発掘調査実習をおこなう。発掘実習は、長野県安曇野市の穂高古墳群(古墳時代後期の群集墳)を予定している。発掘調査をおこなった後は、調査成果を詳細に記録した発掘調査報告書を刊行せねばならない。なぜなら、国民共有の財産である埋蔵文化財についての情報を広く共有するためには、第三者にも調査成果が分かる発掘調査報告書が欠かせない。報告書の中でも、遺構や遺物などの考古資料を各種記録化することはとくに重要であり、実測・拓本・写真撮影など数多くの専門技術が要求される。そこで後期は、実際の遺物資料に触れながら、遺物整理に関わる基本的な技術の習得を目指す。これに並行して発掘調査の成果をまとめ、各自が分担して執筆や製図などをおこない、発掘調査報告書を刊行する。なお、本授業は選択科目だが、考古学を専攻しようとする学生は、必修に準ずる扱いとするので留意されたい。また、発掘実習への参加人数や宿泊施設その他の都合により、考古学専攻以外の学生の受講を制限することがある。
【知識・理解】①考古学的な発掘調査を遂行するために必要な基本的技術を習得する。②発掘調査後に調査成果をまとめ、発掘調査報告書として刊行する。【思考・判断】調査者として主体的に判断しつつ、発掘調査や報告書の作成を進めることができる。【関心・意欲】積極的かつ主体的に発掘調査および発掘調査報告書作成に参加し、考古学の基礎研究を実践する。
※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。
発掘調査技術の習得や発掘調査報告書の刊行へ向けた作業は、授業時間内で完結するものではない。授業以外の練習や整理作業にも適宜参加し、研鑽することが望ましい。授業の参加だけで、必要十分な調査者としての技量を身につけることは困難であることを肝に銘じておいてほしい。
①前期は、測量の際に必要となる製図用の鉛筆、消しゴム、赤青鉛筆、三角スケール、コンベックス、野帳などの道具を事前に準備しておくこと。②後期は、遺物実測に必要な道具のうち、マーコ、キャリパー、ディバイダ―については貸与するが、三角定規(端から0がはじまるもの)については事前に準備しておくこと。
※すべての授業に出席することが原則であり、出席自体は加点の対象になりません。
特になし。
木曜2限、金曜2・5限