國學院大學 平成29年度SYLLABUS

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科目名 教員名
考古学特殊講義 植田 真

開講詳細

開講キャンパス 開講時期 曜日 時限 開講学年 単位数
渋谷キャンパス 後期 土曜 2時限 234 2

講義概要

授業のテーマ

縄文土器文様で最も典型的とされる縄目の文様について、技術と理論を習得するための講義を行う。これまでの研究と今日的な研究の動向について紹介し、縄文土器研究における縄文原体研究の将来について展望する。

授業の内容

Ⅰ)縄文原体研究の歴史
Ⅱ)山内清男によるj縄文原体の発見と研究の進展
Ⅲ)縄文原体研究の意義
Ⅳ)縄文原体製作と施文の実習
Ⅴ)最新研究の動向と展望

到達目標

縄文原体の理論と技術を学び、縄の形と文様バリエーションの関係を実践的に身につける。
・縄を撚れるようになること。
・縄の種類を区別できるようになること。
・実際の縄文土器の文様を読めるようになること。

授業計画

第1回 後期授業のガイダンスと縄文原体研究に関する概要説明
・後期授業の全容について概要を説明し、到達目標を意識する。
【準備学習 30 分】
⇒大学の博物館で縄文土器を見てみよう。縄目の文様はどんな文様なのか言葉で説明できますか?
第2回 縄文原体研究史(縄文原体が縄だと発見されるまでの歴史を振り返る)。山内清男以外の研究者について触れる。
【準備学習 30 分】
⇒大森貝塚発見の土器で、モースが説明した縄目の文様は何と呼ばれたましたか?
第3回 縄文原体発見と山内清男の業績
【準備学習 30 分】
⇒山内清男が最初に発見したといわれる回転縄文は、どのような経緯で発見されたでしょう?
第4回 縄文土器研究における原体研究の意義
【準備学習 60 分】
⇒縄文文様は土器の分類や判別にどのように活かされていますか?
第5回 原体研究最前線
【準備学習 60 分】
⇒縄文原体について掘り下げた論文にはどんなものがありますか?
第6回 原体の基礎理論と製作の基礎技術
原体製作実習と文様施文の体験学習1
【段・撚・条・多条・多段】
【準備学習 60 分】
⇒紐(ヒモ)かこよりをねじって撚ってみよう。こよりを撚ることjは出来ますか?こよりを撚り合せて縄を作ることが出来ますか?
第7回 原体製作実習と文様施文の体験学習2
【節・単節・複節・複々節】
【準備学習 60 分】
⇒撚った縄を粘土に転がしてみよう。縄の文様はどんな形をしていますか?言葉で説明してみよう。
第8回 原体製作実習と文様施文の体験学習3
【反撚・合撚・環付縄・結束・付加条・縄の束】
【準備学習 60 分】
⇒縄の撚り方の違いを比べてみよう。撚る方向や本数の組み合わせにはどんなものがありますか?
第9回 原体製作実習と文様施文の体験学習4
【組紐・絡条体】
【準備学習 60 分】
⇒縄の変化を組み合わせのアレンジで観察してみよう。細い棒に縄を巻きつけて施文するとどうなりますか?
第10回 原体製作実習と文様施文の体験学習5
【押し型文、偽縄文(植物茎文、魚骨文など)】
【準備学習 60 分】
⇒本やWEBのサイトで、縄文に似た文様を探してみよう。偽縄文と呼ばれる文様は、どんな原体(道具)で施文していますか?
第11回 撚りの強弱と文様の変化
撚りの強さの加減を変える。撚りを強くしてみる。弱くしてみる。縄の見た目と文様の変化を観察する。
【準備学習 60 分】
⇒撚りの強さを変えると、条や節の傾きにどんな変化が現れるでしょう?
第12回 縄文の記録方法について
縄文文様の原理と縄の変化と文様の変化の理論的解釈
縄文の記録方法(実測・拓本・写真・デジタルデータなどについて考える)
【準備学習 60 分】
⇒これまで学んだ縄の文様の変化を、もう一度観察してまとめてみよう。
第13回 CGによる縄文シミュレーション
縄の形の変化と文様の変化をシミュレーションで考える
【準備学習 60 分】
⇒撚りの強さの違いによる縄と文様の形の変化を、改めて復習しておこう。それぞれの違いを言葉で説明できますか?
第14回 原体研究のまとめと展望>授業時試験予定
【準備学習 60 分】
⇒半年の学習をまとめておこう。縄は撚れるようになりましたか?文様の区別は判るようになりましたか?実際の土器を見て文様の区別が付きますか?
第15回 授業時試験
【準備学習 90 分】
⇒授業内容の復讐と試験準備
授業計画の説明 授業各回の内容が前後することもありますが、概ね14回分の内容を講義します。まずは縄文原体研究の学史を知る。>縄文原体を研究することには、どのような意義があるのかを知る。>自分で縄を撚ってみる。>縄の違いと文様の区別を頭に定着させる。>実際の土器をみて、縄の文様の違いを区別できるようになる。>報告書の実測図を見て、縄の種類の違いを区別できるようになる(報告書の情報を読めるようになる)。>情報が正しいかどうかを、自分で判断できるようになる。>正しい情報を自らが発信できる技術と理論を身につける。>縄の区別を人に正しく伝えられるようになる。以上を目標に進めていきます。

※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。

授業時間外の学習方法

とにかく縄文土器を見に行こう。縄の文様があるもの、ないもの、どんな文様があるか見てみよう。文様の違いで土器を区別できますか?写真集やWEBなどでも縄文の文様を探してみよう。
縄の文様に注目してみよう。細い縄、太い縄、傾きの方向、施文された場所の違いなど、縄の文様だけでどんな違いを見つけることが出来ますか?
自分で縄を撚ってみよう。しっかりとした縄を撚れるようになるまで、何度も繰り返し作ってみよう。撚りすぎて指先が痛くなることがあります。指先の皮がよれることもあります。痛さが治まってしばらくすると、しっかり力の入った縄を撚ることができるようになる人が多いです。そして、作った縄を粘土に転がし、展開する縄目の文様をよく観察してみよう。実際の土器の文様と比べてみよう。どんな特徴があるのか、友達と言葉で説明しあってみよう。
報告書の実測図を観察してみよう。実測図に描かれた縄の文様に注目してみよう。実測図から縄の種類を判別できますか?判別した縄の種類は、本文や観察表に書かれた記述と合っていましたか?図版の写真と実測図は比較して照合することが出来ましたか?
神社の注連縄は縄文原体の分類でいうとどのように表記できますか?

受講に関するアドバイス

縄文土器の縄目文様が考古学研究で学術的に注目されるのは、明治12年(1879)大森貝塚発掘調査報告書が最初でした。縄を転がした回転文様であることが発見され、縄文原体が特定されるまで、それから52年の歳月が必要でした。その発見からもすでに83年が経ちましたが、縄文原体の研究はこれからまだまだ進んでいくと考えています。縄文土器に施文された縄の文様を、普段は何気なく見ていますが、縄の文様を観察することで得られる考古学情報について紐解いていくことにします。

成績評価の方法・基準

評価方法 割合 評価基準
授業時試験 90% 文様分類の試験>授業の最後に、縄の種類が見極められるようになったかどうかを問います(図や写真で縄の種類や施文の方向を区別できるかどうかを問います)。
平常点 10% 授業時提出物の評価

※すべての授業に出席することが原則であり、出席自体は加点の対象になりません。


注意事項 自分で撚って粘土に転がしてみることで、初めて縄の面白さが判ります。自分で納得できる縄が撚れるまで、何度も繰り返し撚ってみよう。指先が痛くなったら、数日休んでまた撚ろう。

※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。

教科書・参考文献等

教科書

授業時に紹介、配布する。

参考文献

書名 著者名 出版社 備考 K-aiser
日本先史土器の縄紋 山内清男 先史考古学会(復刻版は至文社) 1979年刊行
縄文土器大成3(後期)「縄文施文法入門」 佐原真 講談社 1981年
総覧縄文土器「縄文の施文原体と文様」 可児通宏 アム・プロモーション 2008年
縄文文化の研究「縄文」 戸田哲也 雄山閣 1982年
國學院雑誌108‐10「縄文原体の基礎的研究」 土屋健作 國學院大学 2007年
縄文時代11「山内清男縄文講義ノート」 鈴木保彦 縄文文化研究会 2000年
日本先史学考古学史講義 大村裕 六一書房 2014年
神奈川県夏島における縄文文化初頭の貝塚「土器」 芹沢長介 明治大学文学部研究報告2 1957年
考古学ジャーナルNo.660「特集縄文原体の研究」 植田真 ニューサイエンス社 2014年

参考文献コメント

手に入りにくいものもあります。図書館や研究室を探して、どのような内容か見るだけでも見ておこう。

参考になるウェブページ

東海大学考古学研究室「縄文土器の作られ方」http://www.hum.u-tokai.ac.jp/arch/tenji/jomon-p.pdf
市原市文化財センター「発掘ってなあに3」https://www.city.ichihara.chiba.jp/maibun/pdf/hakkutu3.pdf
【縄文原体・研究】などを検索キーにして、いろいろ探してみよう!