國學院大學 平成29年度SYLLABUS

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科目名 教員名
史学情報処理 中級 植田 真

開講詳細

開講キャンパス 開講時期 曜日 時限 開講学年 単位数
渋谷キャンパス 前期 土曜 2時限 2 2

講義概要

授業のテーマ

文化財調査技術の今日的な問題について測量技術の視点から考えます。考古学研究に関わるデータ(特に遺跡調査におけるさまざまな対象物の位置情報や遺構・遺物の形状や属性情報等)の取得・保存・活用の方法について考えます。

授業の内容

考古学研究における二次的な基礎データ(文章・図面・写真・映像など)の記録は、パソコンの普及とインターネットの日常的な利用とともにデジタル化が常識となり、アナログデータが主流だった従来の発掘調査や整理作業の方法と手順に大きな変化をもたらし、資料の収集・記録・公開・活用の方法を一変させてきました。
遺物や遺構、それらを含む遺跡全体まで、遺跡調査で実測図を作成する対象には様々な規模のものがあり、その方法も多様です。実測に必要な基礎技術は測量であり、遺跡調査に必要な測量技術を学ぶことは考古学研究の基本的スキルとして欠かせません。なぜなら、実測図を作成することが考古学資料への理解を深める第一歩だからです。
授業では考古学で取り扱われるデータがアナログからデジタルへ変化してきた経緯を追いながら、遺跡調査における測量や実測の技術について学びます。調査に活用できるソフトやハードについて紹介し、これまでの、現在の、これからの遺跡調査技術について考えますので、興味ある諸君の積極的な参加を望みます。

到達目標

遺跡調査に必要な測量の基礎理論を習得する。
遺構や遺物の実測図作成に必要な基礎理論を習得し、対象物のもつ情報の質について考える力を養う。

授業計画

第1回 【考古技術学の概要】
前期授業の全体について概要を説明し、到達目標を意識する。
【準備学習 30 分】
⇒考古学に関連する概説書などから、測量に関係する項目に目を通してみる。遺跡調査で使われる道具や機械や図面作成の方法などについて、図や写真のある本を探してみる。ネット検索ワード「考古学 測量技術、デジタル考古学」。画像検索も参考になる。関連するページなどを閲覧してみる。
第2回 【考古学における実測図変遷の歴史】
考古学における実測図の変化と測量技術の発展とのかかわりについて知る
【準備学習 30 分】
⇒考古学の研究書や遺跡調査報告書などに目を通してみる。特に、古い調査と最近の調査で、掲載されている図面や写真などの違いについて比べてみる。ネット検索ワード「考古学 実測図」。画像検索も参考になる。
第3回 【測量技術の基礎理論】
測量とはどのような技術なのか? 2点間を計測するという簡単な実験を体験し、測量の基本的な考え方について学ぶ。
【準備学習 30 分】
⇒友達に、最寄駅から自宅までの道順を教えるつもりで、地図を実際に描いてみる。そのときに、道の距離感を数値で書いてみる。実際の距離をWEBの地図などを検索して比較してみる。検索ワード「わかりやすい案内図」。画像検索も参考になる。
第4回 【地図を作る技術と考古学への応用】
地図作成の技術と歴史について学び、考古学との関連について知る。地図のなかに遺跡の場所を決める意義について学ぶ。

【準備学習 30 分】
⇒地図の歴史について、関連した書籍やネットの情報などを見てみる。ネット検索ワード「地図の歴史」。画像検索も参考になる。「地図の歴史」における、近現代の測量方法について概略を知っておく。
第5回 【地球と地図と座標系(基準点測量と地図の座標系)】
遺跡の位置を地球規模で考え、遺跡調査で最初に行うグリッド設定の原理について学ぶ。グリッドに基づく遺構実測の図面縮尺と精度について学び、その関係について気づく。
【準備学習 30 分】
⇒測量や地図に関係する概説書などに目を通してみる。ネット検索ワード「日本の測量史」。画像検索も参考になる。「日本の測量史」のサイトで三角測量や水準測量について目を通してみる。

第6回 【横メルカトール図法と平面直角座標系】
図面縮尺と精度の関係についてさらに学び、S=1/25000地図とS=1/1000地図の違いを知る。考古学におけるS=1/100、S=1/10、S=1/1の実測図の縮尺と精度について考える。
【準備学習 30 分】
⇒ネット検索ワード「地球の座標系」。画像検索も参考になる。「地球の座標系」で検索できる国土地理院の座標系に関するページをざっとながめて見る。実際の遺跡調査報告書の実測図はどのようなものか研究室などの本を見ておく。
第7回 【考古学と写真測量】
地図作成の技術として発展してきた写真測量について基礎的な理論を学ぶ。写真測量が考古学に利用されてきた背景とその展開について知る。
【準備学習 30 分】
⇒ネット検索ワード「考古学 写真測量 デジタル写真測量など」画像検索も参考になる。写真測量という技術の概要について調べてみる。「写真測量 古墳」などで画像検索し、写真測量で描かれた図面について知っておく。
第8回 【ステレオ写真と3次元実体視(写真を立体的に見る方法)】
平面的な写真や図面から、画像や図形を立体的に見る方法について学び習得する。考古学における3次元データ利用の展望について考える。
【準備学習 30 分】
⇒ネット検索ワード「立体視、実体視、ステレオ写真など」。画像検索も参考になる。ステレオ写真はどんなものか概要を知っておく。
第9回 【遺跡調査における測量技術の変遷(遺跡・遺構編)】
平板測量・遣り方測量からトータルステーション測量・3次元レーザスキャナ測量への発展の背景を知り、今日的な問題について考える。
【準備学習 30 分】
⇒ネット検索ワード「遺跡調査 3D レーザー計測など」。画像検索も参考になる。遺跡や遺物の状況をイメージしやすい図面はどんなものがあるか探してみる。
第10回 【遺跡調査における測量技術の変遷(遺物編)】
三角定規・キャリパー・デバイダーからデジタル3次元計測器への発展の背景を知り、今日的な問題について考える。
【準備学習 30 分】
⇒ネット検索ワード「考古学 実測 マコ、考古学 遺物実測 デジタルなど」。画像検索も参考になる。マコの歴史などについて調べてみる。できれば印刷物の報告書で実際の実測図を見ておく。
第11回 【遺物の観察と情報の抽出(1)】
特に石器について扱い、モノから情報を抽出するということについて知り、考える。実測された図面から情報を抽出するということについて知り、考える。
【準備学習 30 分】
⇒ネット検索ワード「石器 実測図など」。画像検索も参考になる。とくに画像検索で実測図のさまざまな様相について触れておく。できれば遺跡調査報告書で実際の実測図を見ておく。
第12回 【遺物の観察と情報の抽出(2)】
特に土器について扱い、モノから情報を抽出するということについて知り、考える。実測された図面から情報を抽出するということについて知り、考える。実測図の理念と方法について考える。
【準備学習 30 分】
⇒ネット検索ワード「考古学 実測図 理念など」。画像検索も参考になる。関連するサイトや情報について閲覧してみる。
第13回 【考古学情報のデジタル化と保存・公開・活用について(1)】
遺構・遺物の実測におけるデジタル化について総括し、考古学資料としてのデジタルデータの保存や活用について考える。
【準備学習 30 分】
⇒ネットで公開されている考古学や博物館関係のサイトを参照してみる。のネット検索ワード「考古学 デジタル化、デジタル考古学、考古学 デジタル報告書、デジタル博物館など」。画像検索も参考になる。自分が興味のある遺物について、ネットでどの程度閲覧できるか検索してみる。
第14回 【考古学情報のデジタル化と保存・公開・活用について(2)】
遺跡GISや遺跡資料リポジトリに関わるデジタルデータの今日的な問題について学び、将来的な課題について考える。
【準備学習 30 分】
⇒ネット検索ワード「遺跡GIS、遺跡リポジトリなど」。画像検索も参考になる。特に、遺跡リポジトリのサイトで、公開されている自治体の遺跡調査報告書について、自分で検索して1冊ダウンロードしてみる。
第15回 授業時試験
【準備学習 90 分】
⇒授業内容の復習と試験準備
授業計画の説明 考古技術学・史学情報処理中級では考古学における測量技術について考え、実測の技術と方法について理論を学んでいきます。特に遺跡調査に必要な測量技術の基本と背景について学びます。内容が前後重複することがありますが、半期を通じておおよそ下記の内容について学びます。
1)遺跡調査と測量技術の変遷、考古学における測量の役割、測量技術の発達と実測図の変化
2)地図を作る技術を考古学に応用すること、地図のなかに遺跡の場所を決めること、遺跡の位置の表し方(遺跡の位置を地球規模で考える)、地球と地図と座標系
3)写真測量と考古学、ステレオ写真と実体視、3次元測量の展望
4)実測図作成の技術と方法、実測図における情報の質と量、遺物の観察と情報の抽出、実測図に情報を描くということはどういうことか
5)情報のデジタル化と取得・保存・公開・活用

※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。

授業時間外の学習方法

図書館や本屋で測量や考古学に関連する書籍を閲覧してみる。
遺跡の発掘調査に参加して、実際の遺跡調査における図化について触れてみる。
地図センター(東京都目黒区青葉台4-9-6)についてネットで調べてみる。渋谷から近いので、出かけて地図に関連する書籍やグッズなどに触れてみる。
国土地理院のサイトで2万5千分の1や5万分の1の地図などについて調べてみる。地図センターや地図を販売する書店などで自分が住む町や育った町の地図を1枚買ってみる。
国土地理院(茨城県つくば市北郷1番)の地図と測量の科学館について調べてみる。できたら出かけてみる。

受講に関するアドバイス

考古学研究において実測図の果たしてきた役割を掘り下げて考えてみてください。実測図について、誰が、何を伝えたくて、どのような工夫をしてきたかを改めて考えると、過去・現在・将来の実測図のあり方が見えてくるはずです。物を見る目を養うことと、見て得た情報を実測図に描いて人に伝えることは考古学研究の基礎技術です。本授業で、対象物を考古学研究の基礎資料として観察する方法と、描く技術の基本理念を是非身につけて下さい。

成績評価の方法・基準

評価方法 割合 評価基準
授業時試験 90% 授業の内容が理解できたかどうかを確認し、応用できるかどうかを試験する。
平常点 10% 授業時提出物の評価

※すべての授業に出席することが原則であり、出席自体は加点の対象になりません。


注意事項 レポートは自ら考えてまとめる力を試すもの。既存論文の研究成果を踏まえた上で、自分の考えを述べてくれることを期待しています。ネットの情報活用は歓迎しますが、他人の文章を無批判に引用したり盗用することは許されません。減点もしくは採点の対象外となることもありますので注意してください。

※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。

教科書・参考文献等

教科書

必要に応じて資料を配布

参考文献

書名 著者名 出版社 備考 K-aiser
総覧縄文土器 小林達雄編 ㈱アム・プロモーション 2008年6月刊行 P1258縄文土器の実測図-理念と方法-(植田真)
考古学ハンドブック 小林達雄編 新書館 2007年1月刊行
考古学ジャーナルNo.660「特集縄文原体の研究」 植田 真 ニューサイエンス社 2014年9月号

参考文献コメント

その他、授業時に紹介

参考になるウェブページ

準備学習の項目で取り上げたキーワードなどで検索し、閲覧した情報から興味ある用語などで更に検索することをお勧めします。