國學院大學 平成29年度SYLLABUS

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科目名 教員名
考古学各論1(2) 原田 昌幸

開講詳細

開講キャンパス 開講時期 曜日 時限 開講学年 単位数
渋谷キャンパス 前期 土曜 3時限 12 2

講義概要

授業のテーマ

縄文世界の土偶とその研究史(概説と昭和初期頃まで)

授業の内容

“最古級”“最大級”など,日々考古学の新発見がマスコミのニュースを飾るようになって久しい。しかし,元来考古学は,綿密な基礎資料の蓄積とその分析,そして作業仮説に沿った解題的研究から,その学術的内容の深化がはかられる性格の学問体系である。また,近年の考古学は“学際的研究”が賞賛される反面で,考古学の基礎的な方法論としての“学史”の研究と理解が疎かにされていると感じるのは,私一人のみではなかろう。
 この講義では,わが国における考古学研究の歴史と,その流れを縄文世界の“第二の道具”の代表格たる「土偶」を例に,講義型式で概観する。明治時代初期から昭和初期(ここまで,各論1),戦前~戦後,そして大規模開発が盛行した昭和60年代,さらに情報公開の中で共同研究の成果が呈示されている近年まで(ここまで,各論2),先学によって拓かれてきた土偶研究の流れを,主要論文の購読と解説によって跡づけてみたい。
また、現在の社会の中で話題となる考古学・文化財保護に関する情報を適宜提供し、知識の拡張を目指す。
 

到達目標

考古学は,遺物を調べ・解釈し・叙述する学問である。土偶は,縄文時代の呪的遺物の代表であり,その形態の面白さもあって,江戸時代以来永い研究の歴史が積み重ねられている。この講義では,その土偶を例として,考古学における研究の歴史を自身で追究し,研究史を繙くテクニックを取得していただくことを目指す。擬古文体の明治期の論文の読破,宗教学の中で論じられた大正期の土偶研究(ここまで各論1),型式学的方法論が応用された戦後の土偶論文(ここまで各論2)など,研究の視点の移り変わりを自身で認識する研究姿勢の獲得を目標とする。

授業計画

第1回 講師紹介,文化財行政の中の考古学,受講者アンケート
第2回 受講者自己紹介,プロローグ, 考古学とは
第3回 縄文時代とは (その1)
第4回 縄文時代とは (その2)
第5回 近代考古学の始まり,土偶研究の始まり
第6回 縄文時代研究の中の土偶 (概説1)
第7回 縄文時代研究の中の土偶 (概説2)
第8回 縄文時代研究の中の土偶 (概説3)
第9回 論文の購読1 (明治時代の土偶研究)
第10回 論文の購読2 (明治時代の土偶研究)
第11回 論文の購読3 (大正時代の土偶研究)
第12回 論文の購読4 (大正時代の土偶研究),各論Iレポート課題提示
第13回 論文の購読5 (昭和初期の土偶研究)
第14回 論文の購読6 (昭和初期の土偶研究)
第15回 前期講義のエピローグ, 質疑応答
授業計画の説明 講義の内容は,最初,6月までの講義で研究史の大要を概観した後,明治初頭から1940年頃までの論文を通読(音読)しながら,土偶研究のはじまり,型式学的研究の芽生え,土偶の用途論へのアプローチを探っていく。
 また,講義の進行に併せて,土偶研究に限定することなく,適宜考古学の最近の話題や,各地の博物館・遺跡等の紹介も行い,雑学的な知識の伸長に努めたい。
 購読論文のコピーを含め,各地の博物館情報などの資料を多数配付するので,受講者は,各自ファイル(A4判)を1冊用意して,配布順に必ず整理・保存していただきたい。
 期末のレポートでは,考古系の博物館・遺跡調査現場等のレポート作成をお願いするので,講義外でも努めて多くの施設・遺跡にも足を運んで頂きたい。
 

※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。

授業時間外の学習方法

論文講読の講義は,その論文を読む前回または前々回に,論文のコピーを配布します。その論文を事前に必ず通読して、考古学の専門用語,論文に出てくる遺跡名について,事前に事典等で確認しておくと効果的です。事典は『縄文時代研究事典』や『世界考古学事典』等がお勧めです。ハンディータイプの考古学事典も、一冊携帯しておくと便利です。
また、都内には多くの博物館・美術館が集中しています。受講の諸君は、ぜひ多くの館を自ら訪ね、文化財の保存・活用の実際や、その展示環境を体感してください。

受講に関するアドバイス

講義の進行は,明治時代から時系列的に進めるので,前期(1)・後期(2)の両方を受講することが望ましい。
どの時代・どんな遺物の研究でも,研究史の把握とその解釈は,自己の研究視点を定める上で重要なポイントとなる。講義のテーマは,土偶の研究史であるが,同様な方法論が様々な考古学的テーマの研究で有益であることを知って欲しい。
なお,コラムとして,ほぼ毎回の講義ごとに,土偶に限らず様々な時代・資料の情報を随意に提供したい。自身の研究テーマの探索や,遺跡・博物館探訪の参考として,ぜひ活用願いたい。

成績評価の方法・基準

評価方法 割合 評価基準
リポート(単位論文) 70% 的確に課題内容が著述されているか。課題の結論部分を自分自身の言葉で表現しているかを主に評価します。
平常点 30% 講義中、順次指名して対象論文の音読を指示します。また、小レポートを1回程度提出して頂きます。

※すべての授業に出席することが原則であり、出席自体は加点の対象になりません。


注意事項 主に講義型式ですが,受講者に原著論文の音読や、簡単な課題の発表を適宜講義時に呈示します。それらへの積極的な取り組み(講義時)と,配布資料を参考にしたリポートの提出(期末)で評価します。

※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。

教科書・参考文献等

教科書

講義時に講読論文のコピーを配布します

参考文献

書名 著者名 出版社 備考 K-aiser
『日本の美術 345 土偶』 原田昌幸 至文堂 品切中
『日本の美術 495 縄文土器 草創期・早期』 原田昌幸 至文堂 平成19年
『土偶研究の地平』 土偶とその情報研究会編 勉誠社 平成9年
『土偶研究の地平』I~IV 土偶とその情報研究会編 勉誠社 平成10年
『土偶 考古学ライブラリー』 米田耕之助 ニュー・サイエンス社 昭和59年
『国立歴史民俗博物館研究報告37 土偶とその情報』 土偶とその情報研究会 国立歴史民俗博物館 平成4年
『国宝 土偶展』図録 東京国立博物館 NHKプロモーション 平成21年:品切中
『日本の美術 526 土偶とその周辺』I 原田昌幸 ぎようせい 平成22年
『日本の美術 527 土偶とその周辺』II 原田昌幸 ぎようせい 平成22年

オフィスアワー

講義開講の土曜日、12:30~タワー2階の教員室に詰めています。質問等を受付けますので、来室下さい。