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日本古代史研究の基礎を学ぶ
本授業では、日本古代史の学ぶ上で基本になる史料を読むとともに、優れた概説書や研究論文を読みながら、歴史学的な考え方、研究の方法を学ぶ。はじめに、古代史の史料にはどのようなものがあるのか、そして、それらの解読のために辞書・事典類をどのように使うのか、学習する。その後、日本古代の歴史をどのように構想するのか、史実や歴史像へのさまざまなアプローチの仕方、学術上の論点について、史料講読とディスカッションを通じて学習する。 具体的には、『続日本紀』をベースに、必要に応じて他の史書(『日本書紀』以下の六国史など)や法制史料(『律令』『令義解』『令集解』『類聚三代格』『延喜式』など)・文学史料(『万葉集』『日本霊異記』など)、絵画資料(絵巻物など)、出土文字資料(金石文・木簡)、正倉院文書などを利用し、飛鳥〜平安時代の歴史を学ぶ。必要に応じて古代遺跡・出土遺物も紹介していく。 本授業で扱う『続日本紀』は『日本書紀』に続く勅撰の国史で、文武天皇元年(697)から桓武天皇の延暦10年(791)までの95年間(全40巻)の記事を収めており、いわゆる奈良時代史の基本的な史料である。また、他の史書と比較しても本文研究が充実しており、日本古代史料の基本的な読解力を問うには最適な史料といえる。 史学基礎演習Bにおいては、『続日本紀』元禄4年写本(国立国会図書館蔵、請求記号:本別5-39)の和銅年間の条文を読み進めることとする。この時代は大宝律令が制定・施行されてから数年が経過し、法意と現実社会とのズレの修正が行われ、また藤原京から平城京へと都が遷るなど、倭国的なあり方から日本的な律令国家へと成長していく時期である。 このような時代の中で日本古代の国家・王権そして地域社会が如何にして変容していくのか、またその時代の人々がどのように生きていたのか、文献史料だけではなく木簡や漆紙文書などの出土文字資料や金石文、考古学の発掘調査の成果等を取り入れながら概観する。これらの検討を通じて日本古代社会の総体的理解を深めることを目的とする。
【知識・理解】・古代日本の史料を正確に読み、解釈することができる。・六国史や正倉院文書など代表的な日本古代史料の特質を説明できる。【関心・意欲】・日本古代の史料に関心をもつ。・発掘調査のニュースや記事などに関心をもつ。・歴史に関する研究会やシンポジウムなどに参加する。【技能・表現】・日本古代史料の調査方法を身につける(読解のための「道具」を使いこなす)。・史料を通して歴史を見る態度を身につける。
※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。
各回の該当条文を必ず事前に読み、読みや意味が不明な語句などは辞書等で確認し、史料の輪読、質疑応答・討議に加わることができるようにしておくこと。
・基本的な漢文の読解(訓読文・読み下し文・現代語訳の作成)ができるようにしておくこと。・『大漢和辞典』『日本国語大辞典』『国史大辞典』など各種辞典類の基本的な使い方を理解していること。・授業中に基本的な読みや意味の確認等ができるように、漢和辞典等を持参すること(電子辞書でも構わない)。
※すべての授業に出席することが原則であり、出席自体は加点の対象になりません。
教科書は使用しない。ガイダンス時にテキストのコピーを配布する。なお、このテキストは、国立国会図書館デジタルコレクション(URL:http://dl.ndl.go.jp/)で閲覧・印刷が可能である。